アンダーソン・毛利・友常法律事務所の東京オフィスが大手町へ移転 今後の展望と戦略とは
コーポレート・M&A
アンダーソン・毛利・友常法律事務所の東京オフィスが今年5月、赤坂Kタワーから大手町パークビルディングへ移転した。新オフィスの詳細や移転の経緯、事務所の今後の展開・戦略等について同事務所のパートナーである三村 藤明弁護士、江崎 滋恒弁護士にお話を伺った。
東京オフィスを元赤坂から大手町へ移転
アンダーソン・毛利・友常法律事務所のこれまでの沿革と、特色や強みを教えてください。
江崎弁護士
アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、アンダーソン・毛利法律事務所、友常木村法律事務所、およびビンガム・坂井・三村・相澤法律事務所(外国法共同事業)が合併・統合して誕生した総合法律事務所です。
前身のアンダーソン・毛利法律事務所は、名前が示す通り、ジェームス・ビュウェル・アンダーソンやアーサー・一雄・毛利という米国の弁護士により、戦後間もなく設立された、日本における本格的国際法律事務所の草分け的な存在です。その後、日本人弁護士によるパートナーシップ体制となりましたが、沿革的に、米国や英国等の企業が日本でビジネスを展開するにあたってのサポートを行うインバウンドの仕事に強みをもっており、実際に外資系の金融機関や事業会社の日本進出案件を多く手がけてきました。その後、北京をはじめアジア諸国に拠点を設け、日本企業がアジアを中心に海外へ出てゆくアウトバンドのサポートも増やしております。
さらに、グローバルな証券発行等の国際金融取引やクロスボーダーの投資案件において特に多くの実績を積んできた友常木村法律事務所、および、国際倒産・事業再生分野や危機管理部門において豊富な経験を有するビンガム・坂井・三村・相澤法律事務所(外国法共同事業)との統合を果たし、クロスボーダー案件での強みに加えて、あらゆる法律問題や複雑な分野横断的案件に対して、迅速かつ的確に対応できる、真の総合事務所としての地位を確立しました。
今年5月に東京オフィスを元赤坂から大手町へ移転されました。
三村弁護士
やはり大手金融機関や商社をはじめ大型M&Aの主要プレーヤーが、丸の内・大手町エリアに集中しているということが背景にあります。他の法律事務所や会計事務所を含め、このエリアに集中している多数の関係者との会議を、より機動的に行える利便性を考慮し、国内の大型M&Aなどの部門をより強化していくうえで、この立地を選択したということですね。
実際に移転されてみて、いかがですか。
三村弁護士
大手町は、地下鉄が全部で5路線通っており、JRの東京駅からも徒歩圏内にあって、東京のなかではもっとも利便性の高いエリアの一つです。実際に仕事をしてみると、駅近でかつ駅直結という環境は、依頼者だけでなくスタッフや弁護士にとっても非常に快適です。さらに、この同じビル内にはテナント専用のシャワールームやフィットネスクラブ、保育園などの設備が整っています。そういう意味で、この立地は我々の働き方改革の方針にもマッチしていました。
江崎弁護士
子育てをしながら働く弁護士にも利便性が高くて働きやすいという声をもらっています。保育園と同じ会社が運営するベビーシッターの派遣サービスも利用できるようにしていますが、そちらも好評ですね。
依頼者からはどんな反応がありましたか。
三村弁護士
依頼者にまたこういうところで打ち合わせをしたいと思って頂けるようなオフィスにしたいというコンセプトがあったのですが、実際に会議の数は増えましたね。それは利便性の高さも理由だと思いますが、皇居に面した、緑豊かで落ち着いた眺望も喜んで頂けているのではないかと思っています。
日本のビジネスの中心街にいるということは、責任を持って質の高いサービスを提供するという事務所の姿勢とも親和性があるように感じています。
事務所の今後の展開と戦略
アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、2013年には名古屋、上海、シンガポール、2015年にはホーチミン、ジャカルタ、2016年にはバンコク、2017年には大阪と、この5年ほどでオフィスを国内外に非常に精力的に開設されています。オフィスの多拠点戦略についてはどのように考えていますか。
三村弁護士
日本企業にとって距離的な強みがある東南アジアへの進出をサポートすることは重要であると考え、まずは東南アジアの拠点を強化しました。それに加えて、東京オフィスあるいは海外の拠点と連携しながらアウトバウンドのサポートをするという戦略の一環として、名古屋、大阪へオフィスを拡大しています。日本の地方都市でのアウトバウンド業務は、我々のようなクロスボーダー案件の経験を持つ弁護士がサポートできる余地も大きいという考えからです。
日本の法律事務所は多角的な戦略が求められるようになってきており、経営的な要素が強くなっていますよね。
江崎弁護士
人口減少により日本の市場が縮小していくなかで、海外展開戦略は非常に重要です。取引案件も大事ですが、弁護士が、より大きな役割を果たすのは倒産や訴訟・仲裁等の紛争案件です。日本企業も海外でビジネスをしないわけにはいかないので、どんなケースでも巻き込まれる可能性はあります。そうしたときに、我々が日本の法律事務所としてどれだけ食い込めるかということは、戦略的におそらく大事な部分になってくると考えています。
今後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所としてはどのような分野に注力していきたいですか。
江崎弁護士
最近ではフィンテック関係に着目していますね。ビットコインをはじめとする仮想通貨系のレギュレーションが絡んでくるので、もともと金融法務分野に強みのある我々としては、フィンテックという、より新しい分野にその強みを活かしていければと思っています。すでにその分野の第一人者となる弁護士も当事務所から出てきています。
三村弁護士
あとは危機管理部門も需要が多いですよね。
定型的な契約書の作成や、電子メールの検索など定型的な情報の拾い出しなどの業務は、いずれ人工知能(AI)に取って代わられると思うのです。では何が残るかというと、時々刻々と状況が変わるような、個別の複雑な事案や事情に対して、人間関係なども含めて臨機応変かつ的確に判断していくような分野ではないでしょうか。逆に言えば、これからはそういった業務でしか弁護士の強みは活きていかないと思います。もちろん、我々も努力をしていく必要があります。AI化できるところはAIに任せる。そして、私たち弁護士は、より創意工夫や事案の個性に合わせた個別的判断を要する部分に強みを活かしていくという働き方に移っていく必要があると感じています。
(文:周藤 瞳美、取材・構成・編集・写真撮影:村上 未萌、取材:BUSINESS LAWYERS編集部)

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