企業法務の地平線

第37回 大手法律事務所で専門性を極め「自分をアップデート」する環境を求めて – メドレー

法務部

シリーズ一覧全38件

  1. 第1回 花王株式会社 グローバル法務の根幹にある個人商店マインド 
  2. 第2回 「インハウス・ロイヤー」という選択肢 - 日本にとってCLOは必要なのか?
  3. 第3回 世界を股にかけた法務パーソン、国際ビジネスの現場で見えたもの
  4. 第4回 変わるワークスタイルと変わらぬ信念
  5. 第5回 会社の「誠実」を担う法務の姿 – 双日
  6. 第6回 300人体制を築くメガ法務の役目 - パナソニック
  7. 第7回 米国発のルールを日本に浸透させていく、アドビ法務・政府渉外本部の役割
  8. 第8回 マイクロソフトが実践するダイバーシティ戦略
  9. 第9回 法務畑を歩み続けたユニリーバ北島氏が考える、法務の役割と今後の課題
  10. 第10回 人と組織の成長を創造するプロアクティブな法務 - パーソルホールディングス
  11. 第11回 少数精鋭でチャレンジングな法務 - アサヒグループ
  12. 第12回 法律が追いつかないゲーム業界に求められるスピーディな体制構築術 - グリー
  13. 第13回 「1つの特許で生きるか死ぬか」、経営に直結する法務が見据えるグローバル化 - 田辺三菱製薬
  14. 第14回 たばこの概念を覆した「IQOS」で煙のない社会を目指す - フィリップ モリス
  15. 第15回 舞台はグローバル、事業に深くコミットする商社法務 - 三菱商事
  16. 第16回 懐深く、信頼して任せる風土 - 丸紅
  17. 第17回 経営の視点と専門性を持った法務人材を輩出する - キヤノン
  18. 第18回 「多様性」のある組織こそ、強みを生む - ソニー
  19. 第19回 一人ひとりが知財責任者としてのマインドを持つ - メルカリリーガルグループが実践する事業への関わり方
  20. 第20回 「使って初めて価値が出る」、ミッション・バリューを自らの言葉に「翻訳」して実践 - ユーザベース
  21. 第21回 「ポケモン」を支えるプロデューサーとしての法務 - 株式会社ポケモン
  22. 第22回 事業への情熱をもとに担当者をアサイン - DeNA
  23. 第23回 グローバルへと進化するために、働き方改革を推し進める法務組織 - 電通
  24. 第24回 プロジェクトチームの一員として、グローバルで多様なビジネスに並走する - アクセンチュア
  25. 第25回 事業部と一体となり、新規事業領域へチャレンジ – キリンホールディングス
  26. 第26回 合併を経て進化を続けるビジネスパートナーとしての法務 ―コカ・コーラ ボトラーズジャパン
  27. 第27回 活発なM&Aを支える法務組織とその柔軟な働き方 - 富士フイルム
  28. 第28回 契約書を作るだけではない、グローバルな成長に貢献するビジネスコンサルタントとしての法務 – 味の素
  29. 第29回 ウィズコロナ時代に問われる法務部門の組織運営 鍵はリーガルテックの積極活用 – 太陽誘電
  30. 第30回 テレワーク下の法務業務は「依頼者ファースト」のITツール活用で対応 - サイボウズ
  31. 第31回 アフターコロナになっても変わらない、法務のあるべき姿 - パーソルグループ
  32. 第32回 グローバル企業における法務業務とリーガルテック導入事例 勝機はスモールスタートにあり - 日揮グループ
  33. 第33回 急成長するベンチャーを支える「企業法務」の役割とは - GAテクノロジーズ
  34. 第34回 全ては事業の成長のために。ありのまま採用と価値観の共有化を通じて作り上げる熱い組織 - Visional
  35. 第35回 新規事業をサポートするインハウスロイヤーたち - あおぞら銀行のスタートアップサポートチームが生み出す価値とは
  36. 第36回 アクセンチュア法務が高い付加価値を生み出せる理由 オフショア化で契約業務を6割削減
  37. 第37回 大手法律事務所で専門性を極め「自分をアップデート」する環境を求めて – メドレー
  38. 第38回 「世界一幸せな法務」というビジョンを掲げ、事業を通じた社会課題の解決を目指す - LIFULL
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目次

  1. メドレーの文化を体現する事業部と法務のコミュニケーション
  2. 「自分をアップデート」するために森・濱田松本法律事務所からメドレーへ
  3. 法律事務所とインハウス 両方を経験するからこそできる、企業価値を高める意思決定
  4. メドレーの法務で求めるのは自分をアップデートしたい人 弁護士資格の有無は問わない

オンライン診療をはじめ医療ヘルスケア領域におけるインターネットサービスを提供する株式会社メドレー。医療を取り巻く激しい環境変化に対応するため、同社における法務の重要性はこれまで以上に高まっている。今回は同社の取締役/コーポレート本部長 田丸 雄太弁護士と、2021年11月に法務統括責任者(ジェネラルカウンセル)に就任した今仲 翔弁護士に、株式会社メドレーの法務組織のあり方や展望、インハウスロイヤーと外部弁護士のあり方について聞いた。

プロフィール

田丸 雄太氏
東京大学法学部を卒業後、2008年にPaul Hastings法律事務所に入所し、M&Aを中心に幅広くコーポレート案件に従事。2011年からはWHITE & CASE法律事務所に移籍し、日本企業が関与するグローバルM&A等に関与。2016年5月より株式会社メドレーに参画し、翌2017年よりコーポレート領域全般を管掌するコーポレート本部長を務める。

今仲 翔氏
東京大学法学部、東京大学法科大学院卒業後、2011年に森・濱田松本法律事務所に入所し、M&Aを中心に幅広くコーポレート案件に従事。2016年コロンビア大学ロースクール修了、2016年Sullivan & Cromwell法律事務所にて執務。2021年1月に森・濱田松本法律事務所のパートナー弁護士に就任し、2021年11月より株式会社メドレーに参画。

メドレーの文化を体現する事業部と法務のコミュニケーション

メドレーの法務部の体制について教えてください。

今仲氏:
私を入れて6名体制です。事業法務2名、コーポレート法務1名、知財1名、アシスタントが1名です。弁護士資格保有者は私1人ですが、知財担当者は弁理士資格を持っています。

田丸氏:
少人数の法務組織ですが、一般的な契約書や規約のレビュー依頼には平均して2〜3営業日以内で対応できています。

当社の文化として「ドキュメントドリブン」が浸透しており、事業部が法務に契約書審査の依頼をする際には、そもそもプロジェクトの概要や背景がドキュメントで整理されていることに加えて、社内におけるナレッジ共有ツールを見て勉強し、必要な要件を整理したうえで連絡してくれます。そのため、一般的な会社で発生しがちな「ヒアリングしないと何の相談なのかわからない」という余計なコミュニケーションや手戻りがほとんどなく、法務チームは自分の専門性を発揮することができています。

今仲氏:
事業部から相談を受ける際、法律の基本的な内容については事業部ですでに検討されており、難しい論点についてのみ質問されるので、入社当初は非常に驚きました。メドレーでは、事業部の方が自ら契約書にコメントを入れる文化があるのも特徴だと思います。

事業部の方がそこまで法律の検討を進められているというのは珍しいですね。

今仲氏:
若手弁護士時代に外部の弁護士としてメドレーの方と一緒に仕事をさせてもらったのですが、瀧口社長自ら利用規約にコメントを入れていて、法務に対する意識の高さを感じました。ビジネスの具体的な場面を想定した、本質的な問いを受けて驚いたのを覚えています。

コーポレートガバナンス、コンプライアンスやリスク管理についてベンチャー企業では後回しになってしまうこともありますが、当社では経営層から事業部の隅々まで法務・コンプライアンスをクリアしたうえでビジネスを作ることが意識されており、組織として法務を重視する文化が根付いています。

写真左:田丸 雄太氏、写真右:今仲 翔氏

写真左:田丸 雄太氏、写真右:今仲 翔氏

「自分をアップデート」するために森・濱田松本法律事務所からメドレーへ

今仲さんは2021年11月に森・濱田松本法律事務所からメドレーへ参画されたとのことですが、その背景について伺えますか。

田丸氏:
私が、2017年に管理部門機能の全体を統括するコーポレート本部長の職につき、2018年にはコーポレート本部管掌の取締役を拝命したことで、コーポレート領域全体を推進していく仕事に専念していく必要が生じました。それまでは法務の現場業務も兼任していましたが、自分よりもできる人間に任せたく、法務統括責任者の採用活動を続けてきました。

今仲は当社取締役の豊田と私の大学時代の同級生であり、森・濱田松本法律事務所でも活躍していた優秀な弁護士です。先ほど話にも出たとおり、2015年頃には当社の仕事を担当してもらったこともありました。社内の評判もよく、後任として入ってもらうには申し分ない人材でした。2年以上口説き続けましたね。

弁護士の優秀さにもいろいろな判断軸があると思います。田丸さんは今仲さんのどのような点を優秀と感じましたか。

田丸氏:
弁護士としては優秀だけど、ベンチャー企業で活躍するとは限らない人もいると思います。ベンチャー企業で活躍できるのは、ないものをつくりあげていくための本質的な思考能力がある人。ゼロベースで考えられることが重要です。

もう1つは、当社のOur Essentialsにもあるように、「自分をアップデート」できる人。クライアントワークをやり続けることよりも、新しい視座や判断能力を身につけるなど、自分自身が変化するような仕事が楽しいと思える知的好奇心が重要だと考えています。

そうした姿勢を今仲に感じられたことが大きかったですね。厳しく面接をして掘り下げたわけではありませんが、直感的に一緒に仕事をしたいと思えるオーラがありました。オーラというとすごく曖昧に聞こえますが、その人がこれまで経験してきた人生や判断、普段考えていることはコミュニケーション全般に浮かび上がってくるものだと思っています。

田丸 雄太氏

田丸 雄太氏

今仲さんとしては森・濱田松本法律事務所でパートナーに就任したばかりで大いに悩まれたとのことですが、メドレーに参画されることについてどのように考えていましたか。

今仲氏:
外部弁護士時代に、経営陣の大多数を外国人が占めるグローバルカンパニーへ出向し、役員と近い距離で、コーポレートガバナンスやM&Aを含むインハウス業務を経験しました。外国人経営陣からは、クロスボーダーM&Aの契約交渉を仕切ることや、経営会議等の中で法的な疑問が出てきた際には直感で回答することを求められるなど、インハウス弁護士への要求は非常に高度なものが多かったです。その際、General Counsel(GC)が日本でも必要になるはずなのに、人材が不足しているという問題意識を持つようになりました。一方、私としては、弁護士としてあと30年働いていくと考えたときに、もう1〜2段階自分をアップデートする必要があると感じており、GCとしての経験を積むことはアップデートにつながるだろうなと漠然と感じていました。

田丸から声が掛かったのはちょうどそのときでした。いまや法務以外の領域までも統括して経営に携わっている田丸の姿を見てもわかるように、メドレーには、法務を軸にしながら自分をアップデートできる環境があると感じました。

メドレーは上場企業でありながら、今後の拡大も見込め、この先M&Aや海外進出などさまざまなステージが待っているでしょう。医療ヘルスケアという事業領域に鑑みても、法務の活躍できる部分は大きく、経営陣に近い法務という自分が描いていたキャリアに近い仕事ができると考えました。

ご自身の問題意識にも向き合える環境だったのですね。不安はなかったですか。

今仲氏:
先ほどから田丸がご説明している「Our Essentials」は仕事をするにあたって当社が大切にする価値観です。「ドキュメントドリブン」「自分をアップデート」をはじめ、「凡事徹底」「全てを明確に」といった12の行動原則が定められています。この内容については、法律事務所で優秀とされる弁護士がやっていることそのものです。このような価値観を掲げる会社であれば安心して働けると感じました。

今仲 翔氏

今仲 翔氏

法律事務所とインハウス 両方を経験するからこそできる、企業価値を高める意思決定

GCを担える人材が日本に不足しているのはなぜでしょうか。

今仲氏:
経営課題について議論できる法務の専門家が企業内に少なかったからだと思います。これまでも経営にとって法務の専門家は必要でしたが、外部の法律事務所に頼ることがほとんどで、弁護士が法律事務所から企業内へ行く流れができ始めたのはつい最近です。今後は、会社や経営のことをよく理解しているインハウスの弁護士に相談するケースが増えてくると思います。米国では20〜30年ほど前に同じような流れでGCが重要視され始めましたしね。

田丸氏:
リーガルリスクの大きさや求められる慎重さが日本と米国で大きく異なることも一因だと思います。訴訟社会でもある米国の場合、経営陣にリーガルを理解した人物がいることへのニーズが必然的に高くなります。

近年では、日本でもベンチャー企業が隆盛し、フロンティアを切り拓いていくためには、リーガルをツールとして使いながらも会社に事故を起こさないようにするという、専門性に基づくバランス判断が求められるようにもなってきています。

この「専門性に基づくバランス判断」について、大手法律事務所で専門性を極めた経験が求められるわけです。米国企業のGCは、大手トップ法律事務所のパートナーが移籍するケースが多いですよね。こうした流れが、今後日本でも起きてくると思います。

ベンチャー企業の法務部門のトップに大手法律事務所出身の方が就任される例も増えていますね。伝統的な大企業ではいかがでしょうか。

今仲氏:
日本企業の人事制度も変革期にあると思いますが、今現在では、伝統的な日本の大企業には年功序列の人事制度が残っている場合も多く、待遇を個別に変えるのが難しい状況にあります。そうすると、法律事務所、特に大手事務所の中堅くらいの弁護士にとっては、待遇面で大企業と目線が合いにくい場合もあると思います。また、大企業の管理職を務めるには外部弁護士とは異なる経験も必要になると思いますので、大企業側としてもインハウス未経験の弁護士を管理職として採用することはハードルが高いというのもあるのかと思います。

一方で、実力主義のベンチャー企業は、良いと思う人には本人に合ったオファーや待遇を柔軟に出すケースも増えてきており、ベンチャー企業と大企業の待遇が逆転しているケースもよく見ます。規模が小さいベンチャー企業の方が、マネジメント層一人によって影響を受ける部分が大きいので人材にコストをかけるインセンティブが働きやすいという面もあるのだと思います。今後日本では、ベンチャー企業で若いうちから経営陣に近いポジションで働き、そこで活躍した人材が、企業の成長と共に力をつけていく流れになっていくのかもしれません。

ベンチャーと大企業だけでなく、法律事務所とインハウスの環境についても変化していますか。

今仲氏:
大きく変わってきていますし、これからもどんどん変わっていくと思います。これまでは、法律事務所のパートナーになってからキャリアを変えるケースは少なかったと思いますが、弁護士が活躍できる場所がかつてより増えていることもあり、これからは外部弁護士以外の道に行く例なども徐々に増えていくかもしれません。

環境は変化している一方で、私自身インハウスと外部弁護士の区別が明確にあるとは考えていません。外部弁護士であってもインハウスでの経験は有益ですし、GCのようなポジションであれば、外部弁護士の経験は有用です。法律事務所とインハウスを行き来される方もいますし、片方だけしか経験がないことは、弁護士としての弱みになってしまう可能性すら感じます。

田丸氏:
GCに必要なことは、経営陣の中で法務コンプライアンスアジェンダが出てきた時に、経営感覚と専門知識のバランスを取って意思決定することです。

ポジションが人を育てるといいますが、GCとして決めきらなければいけないからこそ、企業価値向上に資するかどうか、自分の考えを磨き上げて意思決定します。

企業内の意思決定は、外部弁護士ではできません。

法務のやっている仕事は企業価値向上に貢献しているか、経営にとって意味のある法務の取り組みとは何か、学べる場所が増えていけば、法律事務所の弁護士もより深みのあるアドバイスができるようになるはずです。そのためにも人材の流動性は高まってほしいですし、人材を育成する素地をつくっていきたいですね。

今仲さんは森・濱田松本法律事務所に籍を残されていると伺いました。

今仲氏:
はい、今も事務所に籍を置いたまま副業として弁護士業務を一部続けています。さまざまな業界で働き方が自由になってきているなか、所属にかかわらず、求められている場所で求められているバリューを出す働き方が、弁護士としてもやりやすくなっています。

今後は、事務所に所属しながら複数社のインハウスとして法務受託を担う働き方も出てくると思います。弁護士は本来個人事業主として働ける仕事なので、実力さえ付ければ自由に働けると思います。インハウスか法律事務所かという区別も今後はより曖昧になっていくかもしれません。

メドレーの法務で求めるのは自分をアップデートしたい人 弁護士資格の有無は問わない

メドレーの法務では、どのような人材を求めていますか。

今仲氏:
Our Essentialsに共感できる方ですね。特に、法務の仕事はこれから大きく変わっていきますし、変えていきたいと思っています。仕事の変化に合わせて自分自身をアップデートする姿勢を持っている方に入っていただけると嬉しいです。

田丸氏:
メドレーの法務部門は、事業経営をサポートする法務部門ではなく、事業経営を一緒にリードする、もしくは推進していくパートナーとしての法務部門です。

我々がビジネス感覚を持ち、不断の努力を惜しまず経営に対してより良いソリューションを提供することで経営から信頼され、経営からの新たな相談につながり、法務もバリューを発揮できるというサイクルが生まれています。

法務も経営をドライブする存在の一角を担っているわけですね。

田丸氏:
また、医療ヘルスケア領域で上場している当社は、市場の信頼を獲得していくためにコンプライアンスを重要視しています。守らなければいけないからやる、という姿勢ではなく、コンプライアンスマインドを持ち、法律の意義を本質的に理解して慎重かつ大胆にさまざまな意思決定をしていく、高いバランス感覚が要求されます。

このような意思決定、特に厳しい意思決定を行うには、トップティアの法律事務所での経験をした人しか見えない部分があると私は考えています。

社会人の最初の段階で法律事務所に所属し「法律に関する見解を出すにはこれくらいの慎重さを要するんだ」という厳しい経験をしているからこそ、慎重かつ大胆な意思決定につながるバランスが取れるようになります。

大手法律事務所で経験を積んできた今仲と一緒に仕事をするメンバーは、自分のコンフォートゾーンの外側にトライしてフィードバックを得ながら成長できる「限界的練習」の環境で、経営をドライブできる法務パーソンとしての姿勢も身につけていけると思っています。

今仲氏:
法務の仕事は細かい点まで突き詰めようと思うといくらでも追求できてしまう難しさがあるのですが、緻密さは大前提として必要である一方、バランス感覚も同じくらい重要だと思っています。バランス感覚については法律事務所時代にセンスの良い先輩方と案件を数多くこなす中で学べたことが大きかったように思います。

外資系法律事務所出身者の田丸と大手法律事務所出身の私がいる環境は新しく入る方にとって、成長にもつながると思います。

弁護士資格の有無に関してはいかがですか。

田丸氏:
限界的練習の環境はあるので、素直に、物怖じせずに、自分の求めることを掴み取り、成長のためにアンラーンできる人であれば、資格の有無は関係ないと考えています。

実際、2年前まで法務領域は未経験だった人材がコーポレート法務で大活躍しています。

今仲氏:
私も完全に同感です。たとえば、未経験で株主総会の準備を担当することになった際、伸びる人は、会社法がどのようなルールになっているかをまず調べようとします。たとえ弁護士資格を持っていても「株主総会は専門外だから」といって調べない人は伸びません。自分をアップデートする発想や知的好奇心を持っているかどうかがすべてだと思います。

法務チームは実際どんな雰囲気でお仕事されてるんですか?

今仲氏:
田丸は、信頼できるリーダーというイメージで、裁量を持たせつつも方向性を適切かつ明確に示しうまく統率しているなという印象でした。私は、まだ色々と試行錯誤で単にチームのメンバーに助けられているという面もありますが、弁護士事務所における経験上、主体的に動いて仕事をする方がやりがいを感じられやすく結果が出ると思っているので、必要なサポートはしつつもなるべく各メンバーがやりたいことを主体的に行いやすい環境作りをしたいと考えています。各メンバーとは基本的に毎週1on1で個別に話し、業務の繁忙状況や興味関心のある業務についてこまめに話すことを心がけています。

田丸氏:
私は法務チームの中でも社歴が最も古く、昔からの情報を多く知っていたのもあって自分が意思決定を主導する役割を担ってしまっていたことも多かったですが、今仲が新しく責任者になって以降は、今仲が現状をメンバーにヒアリングするなど、頼りつつメンバーの主体性をよく引き出しているな、と横から見ていて感じています。加えて今仲は私と比べてインターフェースが非常に柔らかく聞き上手なので、定例ミーティングも田丸が延々と話し続ける感じではなく、メンバーがバランスよく発言する、洗練された雰囲気になったのを見ていてさすがだなと(笑)

最後に、今仲さんがメドレーで実現したいことをお聞かせください。

今仲氏:
すべての仕事が会社の企業価値向上につながっているという視点を持って、経営陣と一緒にM&Aやガバナンスといった経営課題に向き合っていきたいです。また、その過程のなかで、GCとして必要な能力、知識を突き詰めて考えていきたいです。

外部弁護士は、クライアントからの相談に対応する受け身な仕事になりがちですが、インハウスでは、会社の改善すべき点や不足している点を自分で積極的に探し出し、会社に導入・浸透させる必要があります。これまでに経験したことがない取り組みなので、自分にとってのチャレンジだと思っています。

(文:周藤 瞳美、写真:岩田 伸久、取材・編集:BUSINESS LAWYERS 編集部)

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